笑気麻酔が治療への恐怖心を取り除く、その仕組みとは?

笑気麻酔とは何か?

笑気とは亜酸化窒素という医療用ガスで、200年前にはもう開発されていて、高齢者でも乳児にも使える安全性の高いガスです。
鼻だけに装着したマスクから吸入します。
口の部分は覆いませんので、いつもの歯科治療が可能です。
普通の呼吸に笑気を混ぜて吸入することで、心が落ち着き、ぼんやりとした気持ちになります。
意識はあり、お口の開け閉めなど指示にも従い、受け答えもできますが、やや眠気があるような状態が一番近いです。   
歯科治療での痛み・恐怖を想像することで、それによる不安、気分不良、血圧が上がるといった様々な症状が出てきます。
しかし笑気麻酔を併用することにより、不安感や恐怖心を取り除いて歯科治療できるため、患者さんにとって精神的負担の少ない治療ができます。

「無痛治療」と「笑気麻酔」、その違いについて

患者さんの痛みを取る歯科治療の方法として、無痛治療という言葉があります。
無痛治療の中には、表面麻酔、細い針と体温程度に温めた麻酔薬による局所麻酔、笑気麻酔の他に、静脈内鎮静法という静脈に薬を投与してぼんやりとさせる方法、なども含まれます。
静脈内鎮静法は静脈の点滴から鎮静薬を投与し、中枢神経に作用させて鎮静させる方法です。
その効果は笑気鎮静法に比べて高く、鎮静だけでなく、鎮痛、そして処置中に嫌な記憶が無い健忘効果があります。
これらを組み合わせて、麻酔による痛みを極力少なく抑えることが無痛治療ん目的です。
笑気麻酔の効果が薄い方、あまり効かないという方にはこれらのいくつかを使って痛くない治療を行うことがあります。

笑気麻酔におけるメリットとデメリット

笑気のメリットとしては、恐怖心を鎮める鎮静作用だけでなく、痛みを軽くする鎮痛作用もあります。
笑気吸入鎮静法により気持ちがリラックスし、痛みの感じ方が軽くなります。
笑気を吸入させつつ、表面麻酔、そして局所麻酔も併用して治療をすると、歯の治療が痛くて怖い、という悩みも軽減されます。
成人だけでなく、小児でもよく使われます。
ただし、笑気麻酔にもデメリットがあります。
鼻につけたマスクで吸入しますが、花粉症やアレルギー性鼻炎などで鼻が詰まっているような方では、鼻呼吸ができないため、笑気麻酔が使えません。
また、中耳炎をお持ちの方もお勧めしません。鎮痛効果、鎮静効果には個人差があり、思ったほどの鎮静効果が得られなかったという場合もあります。