歯科用レントゲンの被ばくは大丈夫か
放射線やレントゲンと聞くと、被ばくが怖い、目で見えないためよくわからない、という方が多いでしょう。見えないものだからこそ、しっかりと正しい知識を持っておきたいものです。今回は、歯科用レントゲンについて、その安全性をみていきます。
放射線の比較について
放射線の量はmSv(ミリシーベルト)という単位で表現されます。この数値が大きいほど、放射線の量が多いということです。
意外に思われるかもしれませんが、私たちは日常生活で宇宙、大気、大地、そして食べ物など身の回りの様々なものから放射線を受けています。これを自然放射線といいます。地域によりますが、日本では宇宙から0.3mSv、大気から0.5mSv、食べ物から1mSvなど、1人あたり年間平均2mSvの被ばくを自然放射線として受けています。なお100mSv以下ではガンは発生しないと言われています。
歯科用デジタルレントゲンはとても安全です
レントゲン撮影は、出てきた当初はフィルムで撮影し、現像液につけて処理していました。その時代はほぼ終わり、最近ではフィルムや現像液を使わないデジタル化がどんどん進んでいます。デジタル化の最大のメリットは、すぐ見れること、そして被ばく量を桁違いに小さくできるという点です。
歯科用レントゲン検査での放射線量は、お口全体が撮影できるパノラマエックス線検査の場合で0.03mSv、歯2−3本だけ撮影するデンタルエックス線検査の場合でも0.01mSvです。これは自然界から1年間に受ける自然放射線量のおよそ1/40~1/100程度です。撮影は歯科医師や放射線技師など資格を持った人しかできませんので、とても安全と言えます。
妊婦さんのレントゲン撮影も安全です
妊娠の時期にもよりますが、胎児が1回で直接50~100mSvという量を浴びてしまうと、奇形のリスクがあると言われています。
それを考えますと、デンタルエックス線検査で0.01mSvと撮影で使う線量が極めて少ないこと、さらにレントゲンの撮影部位がお口であるためお腹から離れており、レントゲン撮影時には防護用エプロンを着用することも合わせますと、妊婦さんのレントゲン撮影はとても安全です。
万一、妊娠しているかもまだわからない時期にあって、歯科医院を受診したときにレントゲンを撮ってしまった、という場合も、そう慌てる必要はないと言えるでしょう。もちろん、無用な被ばくは妊娠に関係なく避けるべきものですので、歯科医師は必要最低限しか撮影しません。
大事なことは、妊娠の予定がある場合には事前に虫歯の治療、歯周病の治療は終わらせておきましょう。そして妊娠中はどの産婦人科にかかっているかも合わせて歯科医師にその旨を伝えてください。