フッ化物を過剰に飲み込んだ場合の対処について
フッ化物による洗口などを見ていると。間違って全て飲み込んでしまうのではないかと思うことがあります。フッ化物を安全に使うためには、いくつかのポイントがあります。また万一飲み込んだ場合にはどうすべきでしょうか。
フッ化物を使うにあたり注意すること
フッ化物の使い方にはいくつかの方法があります。フッ化物で洗口する方法、フッ化物配合の歯磨剤を使うこと、フッ化物を丸めた綿球で歯面塗布すること、トレーにフッ化物液を入れて5分間保持する方法などです。これらの方法を複数同時に組み合わせても、急性中毒などについて特に問題は無いとされています。
また、フッ化物の使用が小児から中学生を中心に有効なことは先ほども述べましたが、やはりその前提として医療機関では歯科医師が、ご家庭では保護者が管理して、毎回適正な用量を準備して使用することが望ましいといえます。
フッ化物をより安全に使用するためには
上記から、急性中毒を起こすことが少なそうにも思えますが、その前提としては、歯科医院は歯科医師が、ご家庭では保護者の方の管理は重要です。フッ化物歯面塗布剤の不用意な飲み込みを防止するため、注意すべきことがいくつかあります。
・お子さんの手の届く所にフッ化物液のボトルを保管しないようにしましょう。そして1人1回分に小分けしたものを保護者が準備するようにしましょう。
・お子さんは座位の状態でフッ化物を塗布中し、バキュームや排唾管などを使用してお口の中の唾液を適宜吸引するようにします。
・フッ化物の塗布終了後は、時々唾を出すように指示したり、バキュームで唾液を吸いとったりします。また終了後30分間は水を飲まないように指導しましょう。
・フッ素塗布について拒否が強いお子さんには、無理に塗布しないようにしましょう。飲み込むリスクの他に、塗布する器具でお口の粘膜を傷つける危険性があります。
過剰に飲み込んだ場合の対処について
飲み込んだ直後で吐き出させることができれば急性中毒の危険性は低くなりますが、お子さんでは吐き出させることは難しいことが多いかと思います。フッ化物はカルシウムと結合しやすい性質があります。この性質を利用して、カルシウム製剤を内服するか、もっと簡単な方法として牛乳を飲ませることを試してください。胃で反応する初期段階でこの対処できれば、中毒は軽症で済む可能性があります。
一方、飲み込んでから保護者が気づいて対応するまでに時間がかかってしまった場合は、フッ化物が血中に取り込まれる可能性が高くなります。病院に搬送して低カルシウム血症対策が必要となります。