顎関節症の原因や症状、治療方法の解説
顎関節症とはなにか?
顎関節症とは、耳の前にある顎の関節におけるトラブルのうち、急にお口が開け閉めしにくくなったり、顎を動かすたびに痛みが出たり、開け閉めする時に耳の前でガクッガクッまたはジャリジャリと音がするという症状をひっくるめて顎関節症といいます。
顎関節症の原因・症状とは?
顎関節症の原因には様々なものがあります。一番多いのは寝ている間の歯ぎしり・食いしばりです。これは本人が無意識なうちに起きるイベントなので、家族から指摘されて気づくことがほとんどです。
次に多いのは片方で咬む、決まって横向きで寝る、頬杖をついて過ごすことが多い、などの習癖です。顎の関節を突き上げるような力をかけ、刺激を与えることになりますので、顎関節症を誘発・悪化させます。
これとは別に、奥歯で咬めない、つまり前歯でしか噛んでいない場合も、顎の関節に負荷がかかります。
顎関節症の治療方法について
顎の関節は噛みしめの力など刺激によってゆっくり変形(リモデリング)していきます。そのため、顎関節症の治療において外科手術はほとんどなく、まずはできることから順に行なっていきます。
詳しくは経験豊富な歯科医師とよく話し合って治療を進めてください。
1)上下の歯を接触させないこと
日中起きて安静にしている時、上下の歯は少し隙間があって接触しない状況が理想とされています。最近、仕事の緊張やストレスが原因でつい噛みしめる、食いしばっていることがわかってきました。これをTooth Clenching Habit (TCH) といいます。このTCHをできるだけ減らすためには、まず咬む力を少しゆるめる、リラックスさせることが必要です。
2)しっかりと開口すること
お口を閉じる筋肉には、ほおの部分にある咬筋、こめかみから耳の上にかけて広がる側頭筋などがあります。これらは食いしばりや歯ぎしりによって十分に鍛えられています。前述のTCHの改善のため、痛くても、音がしても、あくびをしてもしっかり口を開けるようにしましょう。
3)癖を直す
つい片方で咬む、横向きで寝る、頬杖をついて過ごすなども、左右のあごにかかる力のバランスが不均一になって悪くなり、上下の歯の接触の原因となります。
4)噛み合わせの治療を行う(歯が欠けている、無い部分、高く感じる部分)
奥歯などに歯が欠けている場所があると、その部分はしっかり咬めないという状況になります。その咬む力が顎を突き上げることになります。また、かぶせ物が入っているけれど、高さが合っていない(低く感じる、高く感じる)場合は高さの調整する治療が必要です。小臼歯と大臼歯でしっかり咬めるように治療を受けましょう。
5)マウスピースによる治療
上記はすぐにできることで、それでも症状がなかなか改善しない時にマウスピースの装着を考えます。マウスピースは特定の歯に当たる状況を多数の歯で当たるように改善したり、歯ぎしりなどでの動きを逆にスムーズにしたりすることを目的にしています。また歯が削れるのではなく、マウスピースが削れることで歯を守るという役割もあります。