セルフチェックで口腔がんを早期に発見しましょう

日本人の死因で1位は悪性新生物(がん)で、以下心疾患、老衰、脳血管疾患、肺炎と続きます(2019年)。口腔(咽頭を含む)がんは約22000名が診断されて約7700名が死亡しており、死亡率は約35%です(全国がん登録罹患データ)。一方アメリカでは19.8%(cancer statistics 2016)と開きがあり、背景としてセルフチェックでの早期発見が重要といわれています。

口腔がんとその治療法とは

口腔には、上あご・下あごの骨、舌、粘膜、唾液腺などがあり、これら全てからがんが出来る可能性があります。舌がんが最も多く、歯肉がん、頰粘膜がん、唾液腺がんの他、骨肉腫といった骨から出来るがんも含まれます。口腔がんは遺伝しませんが、飲酒(アルコール)と喫煙がリスクファクターだと明らかになっています。
 治療は、がん細胞を体内からどれだけ取り除けるか、です。まず手術療法を検討します。がんのシコリから縦・横・深さそれぞれ1cm以上余裕をつけて切除することが基本です。首のリンパ節に転移していたら、決められた領域のリンパ節の掃除も必要です。また体力や持病により全身麻酔が無理な場合は、化学療法や放射線療法を検討します。
 口腔がんは会話や食事だけでなく、容貌にも関係するため、早期発見によるできるだけ小さい切除で終わらせたいものです。

口腔がんの主な症状について

まず、初期の口腔がんは、見た目が口内炎に似ています。これが早期発見の難しいところです。まずはよくある口内炎と考えて、塗り薬(デキサメサゾン軟膏など)や歯科医院でレーザー治療を受ける方がおられます。目安として2週間の経過をみても治らない場合、治りにくい(難治性)口内炎の可能性だけでなく、口腔がんの可能性も強く疑いましょう。
 最初は小さな口内炎ですが、周囲に硬い部分をともなって徐々に大きくなります。指でさわるとシコリのようになります。刺激物(酸味や塩味など)が当たると痛みが出たり、そのために食事が困難になることもあります。会話もしにくくなります。
歯磨きなどでお口の中を時々見てみてください。「これは何だ?」というものがあれば、恥ずかしがらずに歯科医院で相談してみましょう。早期発見に繋がることもよくあります。

 

「口腔がん」を疑うことができるセルフチェックポイント

歯磨きの時に、明るい洗面台でじっくりとチェックする方法です。今まで無かったものがあったり、右側にあって左側に無い、などは口腔がんの可能性があるかもしれません。
(1)舌:口を大きく開け、舌を前に突き出して表面をチェックします。そして左右にゆっくり動かして舌の側面(舌縁部、舌下面)を見ます。口内炎や赤くなっていたり、擦っても取れない白いもの、できものなどがありませんか?
(2)頰粘膜:口を大きく開けて、左右の頰の内側の粘膜を見てみましょう。しこりがあったり、ぬぐっても取れない白いものがありませんか?
(3)歯肉:上唇と下唇をそれぞれ指でめくり、歯肉全体を前から後ろまでゆっくり見ていきましょう。赤く腫れたり、白いおできのようなものができていませんか?